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Regional Economy / Insights Notes

青森の人口動態・高齢化は周縁部から都市へ広がる

山形宮城岩手秋田と、東北四県を市町村単位で並べてきた。五つ目の青森は、高齢化率が県計で約34%と全国でも高い水準にある。ただし数字の正体は、他の四県と同じく、高齢者が増えたこと以上に働き手が20年で約3割減ったことにある。一方で高齢者数そのものは、秋田のように頭打ちへ向かうのではなく、2000年比でなお約44%増と急増の途中にある。しかも青森には、津軽と南部という二つの中心と、極端に高齢化の進んだ広い周縁があり、高齢化の段階は周縁部で先行し、都市部はこれから深まる。まずは人口動態を市町村ごとに分析し、地域ごとの高齢化の状況を地図にまとめる。

01二つの中心を持つ、広い県

青森県は、津軽半島から下北半島まで東西南北に広い県土を持ち、その内部は歴史的に二つの地域に分かれてきた。西の津軽(弘前・五所川原を中心とする日本海側)と、東の南部(八戸を中心とする太平洋側)で、そこに県都の青森市が加わる。人口も、青森市・八戸市・弘前市の三都市に集まっている。

そこで、山形・宮城・岩手・秋田と同じ枠組みで、国勢調査の2000年から2020年までの20年を市町村ごとに並べる。高齢化率(65歳以上が総人口に占める割合。年齢不詳を除いて算出する)、働き手にあたる生産年齢人口(15〜64歳)の増減、高齢者数がいつ頂点を迎えたか。この三つを重ねると、青森の高齢化が地域ごとにどの段階にあるかがはっきりする。

02高齢化の段階でみる青森

高齢化がどこまで進んだかで、青森の40市町村は三つに分かれる。この三類型は、高齢者人口の推移をもとに本稿で独自に設けた区分にあたる。山形・宮城・岩手・秋田と同じ枠組みで、高齢者数が既にピークを越えた量ピークアウト型(A、8市町村)、高齢者数がなお増える高齢化進行・移行型(B、26市町村)、そして高齢者数はこれからピークを迎えるが都市機能や産業の基盤が厚い都市・基盤厚型(C、6市町村)にあたる。青森では、このC型が青森市・八戸市・弘前市の三都市に、三沢市・六ヶ所村・おいらせ町という産業立地の町が加わって6市町村ある点に、秋田との違いがある。

青森県40市町村の高齢化類型マップ 青森県の40市町村を高齢化の段階で3類型に色分けした地図。C(都市・基盤厚型、灰)は青森市・八戸市・弘前市の三都市と、三沢市・六ヶ所村・おいらせ町など産業立地の町で、高齢化率が相対的に低い。B(移行型、青)は五所川原・十和田・むつなど各地の地方都市。A(量ピークアウト型、濃紺、2015→2020年で高齢者数が減少・ピークは2000〜2015年)は今別・外ヶ浜・深浦など津軽半島と下北半島の周縁部、および新郷・田子など県南の山あい。周縁の小さな町村ほど高齢化が深い。 高齢化の段階は周縁部と都市・産業立地で分かれる ─ 40市町村の類型 高齢化の段階でみた3類型(A:高齢者数がピーク済/B:なお増加中/C:これからピーク・基盤厚) 青森市 八戸市 弘前市 五所川原 十和田 むつ市 三沢市 六ヶ所 おいらせ 今別 深浦町 大間 外ヶ浜 A 量ピークアウト型 津軽・下北の周縁ほか(8) B 高齢化進行・移行型 各地の地方都市(26) C 都市・基盤厚型 三都市・産業立地(6)
FIG.01出所:総務省「国勢調査」(2000〜2020年)・国土数値情報の行政区域データをもとに作成。40市町村を高齢化の段階でA・B・Cに色分けした。C型(灰)は三都市と三沢・六ヶ所・おいらせ。A型(濃紺、2015→2020年で高齢者数が減少。ピークは2000〜2015年)は今別・外ヶ浜・深浦など津軽・下北の周縁部と、新郷・田子など県南の山あい。周縁の小さな町村ほど高齢化が深い。高齢化率は年齢不詳を除いて算出。

C型(三都市・産業立地)は、県内で相対的に若い一角をつくる。八戸市は太平洋側の工業港湾都市、三沢市は基地と工業の町、六ヶ所村は原子燃料サイクル施設を抱える。八戸に隣接するおいらせ町は、20年で人口を増やした県内唯一の自治体にあたる(八戸圏の六戸町も直近5年は微増)。A型は、若年層の流出が早く高齢者数さえ頂点を過ぎた地域で、今別町・外ヶ浜町など津軽半島の先端、深浦町など西海岸、風間浦村・佐井村など下北半島の先端、新郷村・田子町など県南の山あいに散らばる。B型は、その中間の五所川原市・十和田市・むつ市など各地の地方都市にあたる。

03高齢化が進む町ほど、支え手が細る

「負担」の重さを測る老年従属指数(生産年齢人口100人あたりの高齢者数。65歳以上人口÷15〜64歳人口×100で表す)でみると、青森ではどの類型でも指数が急上昇している。とりわけ量ピークアウト型は2000年の約50から2020年の約110へ上がり、働き手1人が高齢者1人を支える水準を超えた。移行型は約34から約69へ、三都市を含む都市・基盤厚型でも約26から約55へ倍増している。県計でも2020年に約61で、働き手およそ5人で高齢者3人を支える計算になる。

老年従属指数の推移(類型別、2000-2020年・青森) 生産年齢人口100人あたりの高齢者数の推移を青森県の3類型で示す。量ピークアウト型は2000年の約50から2020年の約110へ上がり、働き手1人が高齢者1人を支える水準を超えた。高齢化進行・移行型は約34から約69へ、都市・基盤厚型(青森・八戸・弘前など)は約26から約55へ上昇した。周縁部では支え手が高齢者より少ない局面に入っている。 周縁部では働き手1人で高齢者1人を支える段階へ 老年従属指数=高齢者人口÷生産年齢人口×100(類型別) 20 40 60 80 100 働き手=高齢者 2000 2005 2010 2015 2020 量ピークアウト型 110 移行型 69 都市・基盤厚型 55 50 34 26
FIG.02出所:総務省「国勢調査」(2000〜2020年)をもとに作成。老年従属指数はいずれの類型でも急上昇する。量ピークアウト型は2020年に約110へ達し、働き手より高齢者が多い局面に入った。市町村は現行40区分に組み替えた。

2020年の高齢化率と、2000年からの働き手の増減率をとると、両者はきれいな右肩下がりに並ぶ。連動の強さを示す相関係数は−0.94で、山形・宮城・岩手・秋田と同じ水準にある。高齢化率が高い町ほど、働き手が大きく減っている。青森市・八戸市・弘前市の三都市と、三沢・六ヶ所・おいらせは左上に位置し、高齢化率が低く働き手の減少も小さい。反対に、津軽・下北の周縁(今別・外ヶ浜・深浦)は右下で、高齢化率が5割を超え、働き手は半分以上減った

高齢化率と生産年齢人口20年増減率の関係(青森40市町村) 横軸に2020年の高齢化率、縦軸に2000年から2020年の生産年齢人口の増減率をとった散布図。高齢化率が高い市町村ほど生産年齢人口の減少が大きく、相関は-0.94と強い。青森市・八戸市・弘前市の三都市と、三沢市・六ヶ所村・おいらせ町など産業立地の町は左上に位置し、高齢化率が低く働き手も比較的保たれている。津軽・下北の周縁部(今別・外ヶ浜・深浦)は右下で、高齢化率が5割を超え、働き手は半分以上減った。 高齢化が進む町ほど働き手が減る ─ 三都市と産業立地は例外 横軸=高齢化率(2020年)/縦軸=生産年齢人口の増減率(2000→2020年) -10% -20% -30% -40% -50% -60% 30% 40% 50% 高齢化率→ 今別町 外ヶ浜町 深浦町 むつ市 弘前市 青森市 八戸市 おいらせ町 三沢市 六ヶ所村 都市・基盤厚型 三都市・産業立地 移行型 移行 量ピークアウト型 高齢化先行 ●の大きさ=人口規模
FIG.03出所:総務省「国勢調査」(2000・2020年)をもとに作成。●の大きさは人口規模。横軸が高齢化率、縦軸が生産年齢人口の20年増減率。三都市と産業立地は高齢化率が低く働き手も維持されている。周縁の小町村は高齢化率が5割を超え、働き手の減少が深い。高齢化率は年齢不詳を除いて算出。

04高齢化の正体は働き手の激減、高齢者数はなお急増

青森の高齢化率が全国でも高い水準まで上がった理由は、高齢者が急に増えたからではない。県計の生産年齢人口は、2000年の約96万人から2020年の約68万人へ、20年で30%減った。高齢者が4割強増える一方で、働き手や子どもはそれ以上の速さで減っている。分母となる総人口が急速に縮むなかで高齢者の割合が上がるのが、青森の高齢化率の高さの正体にあたる。

生産年齢人口と高齢者人口の推移(青森県計、2000-2020年) 青森県40市町村を合計した生産年齢人口(15〜64歳)と高齢者人口(65歳以上)の推移。生産年齢人口は2000年の約96万人から2020年の約68万人へ30%減った一方、高齢者人口は約29万人から約41万人へ44%増えた。高齢者数は秋田と異なりまだ急増の途中にあり、2015年から2020年でも約2.2万人増えた。高齢化率が全国でも高い水準まで上がった主因は、高齢者の増加以上に働き手が20年で約3割減ったことにある。 働き手は3割減り、高齢者数はなお急増の途中 青森県40市町村合計・人口(千人) 0 200 400 600 800 1000 2000 2005 2010 2015 2020 生産年齢(15〜64歳) 676千人 (−30%) 965千人 高齢者(65歳〜) 413千人 (+44%) 287千人
FIG.04出所:総務省「国勢調査」(2000〜2020年)をもとに作成。生産年齢人口は2000年比で30%減り、高齢者人口は同じく44%増えた。高齢者数の増加は2015年から2020年でも約2.2万人にのぼり、秋田のような頭打ちには至っていない。

ただし秋田と決定的に違うのは、高齢者数がまだ急増の途中にある点にある。県計の65歳以上人口は2015年から2020年でも約2.2万人増え、伸びは衰えていない。高齢者数が既に頂点を過ぎたのは、周縁の8市町村にとどまる(ほぼ横ばいの2町村を含めても10)。青森は、秋田が「波の頂を越えつつある」段階だとすれば、まだ波の途中にある(いずれも2020年の国勢調査時点の比較)。とりわけ三都市では、これから高齢者数が最も増える。介護・医療の需要は、割合の高い周縁部で先に、数の多い三都市で後から重くなる、という二段構えになる。

0540市町村を高齢化率で並べる

市町村ごとの数字を、高齢化率の高い順に並べる。最も高いのは津軽半島の今別町で55.3%、最も低いのは六ヶ所村で25.8%。同じ県のなかで、高齢化率に約30ポイントもの開きがある。働き手の20年増減をみると、周縁の町村では半分以上が消える一方、おいらせ町は1割弱の減少にとどまり、対照が際立つ。

市町村地域高齢化率
2020(%)
高齢者数
ピーク年
生産年齢
20年増減(%)
高齢者数
20年増減(%)
今別町東青55.32010-59.7-3.0
外ヶ浜町東青51.02015-56.2-0.4
深浦町津軽50.72015-55.1+10.0
新郷村三八上北49.32010-49.0+0.6
佐井村下北48.12010-55.3+0.9
風間浦村下北46.42005-54.8+5.7
鰺ヶ沢町津軽44.72020-46.1+8.8
中泊町津軽44.42020-51.6+17.5
田子町三八上北43.92005-44.2+10.8
大鰐町津軽43.52020-46.0+13.2
蓬田村東青42.42015-40.8+13.8
三戸町三八上北41.92015-44.5+10.7
平内町東青41.12020-45.4+24.3
七戸町三八上北40.82020-40.5+30.2
五戸町三八上北40.32020-37.8+26.5
南部町三八上北40.02020-37.4+21.6
横浜町三八上北40.02020-37.2+31.5
西目屋村津軽39.62000-45.8-26.1
つがる市津軽38.82020-37.3+19.3
東北町三八上北38.42020-34.8+36.3
野辺地町三八上北38.12020-37.1+41.3
板柳町津軽38.02020-37.1+25.5
鶴田町津軽37.92020-36.0+22.2
大間町下北36.32020-39.4+29.9
田舎館村津軽36.12020-30.7+29.4
五所川原市津軽36.02020-30.5+37.5
東通村下北35.52020-36.1+18.3
平川市津軽35.32020-28.4+31.6
黒石市津軽34.32020-28.9+38.5
むつ市下北34.32020-33.1+43.9
十和田市三八上北34.02020-28.2+60.4
六戸町三八上北33.82020-16.0+51.9
藤崎町津軽32.92020-22.9+24.5
弘前市津軽32.42020-25.1+42.1
階上町三八上北32.32020-28.2+82.4
青森市東青32.22020-30.7+54.1
八戸市三八上北31.32020-24.7+73.7
おいらせ町三八上北27.92020-8.5+76.6
三沢市三八上北27.02020-17.7+54.4
六ヶ所村三八上北25.82020-20.4+32.3

類型 A(左端navy)=量ピークアウト型:2015年から2020年にかけて高齢者数が明確に減少した8市町村(ピークは2000〜2015年)。B(mid-blue)=高齢化進行・移行型:高齢者数がなお増える26市町村(高齢者数がほぼ横ばいの三戸町・蓬田村を含む。両町村の2015→2020の減少は数人で、年齢不詳の変動幅の範囲内)。C(gray)=都市・基盤厚型:都市機能・産業の基盤が厚い青森市・八戸市・弘前市・三沢市・六ヶ所村・おいらせ町(相対的に高齢化率が低く働き手も比較的保たれる)。山形・宮城・岩手・秋田・青森の5ノートで共通の類型で、高齢化率降順に配列。ピーク年は直近2015→2020で高齢者数が増加なら2020、減少ならその最大年。地域は本稿独自の4区分(津軽・東青・下北・三八上北)で、行政区分とは一致しない。C型の財政面での裏づけは次稿で扱う。

06二つの中心と、広い周縁

地図と数字を重ねると、青森の高齢化は都市と周縁で局面がはっきり分かれる。人口加重でみた地域別の高齢化率は三八上北33%・東青33%・下北35%・津軽35%で、太平洋側で人口の集まる三八上北がやや低く、西の津軽と北の下北がやや高い。ただし地域の平均以上に効いているのは、同じ地域のなかの都市と周縁の差にある。三都市は3割前後にとどまる一方、その外側の小さな町村では4割から5割を超える。

量ピークアウト型(A)は、今別町・外ヶ浜町など津軽半島の先端、深浦町など西海岸、佐井村・風間浦村など下北半島の先端、新郷村・田子町など県南の山あいに散らばる。これらでは高齢者数が既に頂点を過ぎ、人口そのものが薄くなっている。今別町は20年で人口を4割以上減らし、老年従属指数は130を超えた。人口を前提に組み立てられた集落や生活の基盤を、どう畳み、どう束ねるかが、他地域に先立って問われている。

都市・基盤厚型(C)は、秋田になかった厚みを持つ。県都の青森市に加え、太平洋側には八戸市の工業港湾、三沢市の基地と工業、六ヶ所村の原子燃料サイクル施設という産業の集積があり、おいらせ町は八戸圏のベッドタウンとして人口を増やしてきた。これらは県内で人口を引き受ける受け皿になりうる。ただしその三都市でも、高齢者数はこれから最も増える。いまの相対的な若さを、来る高齢化の波への備えへどう回すかが、この先の論点になる。

青森を一つの平均でみると、「高齢化率が全国でも上位の、縮む県」という一言で終わってしまう。だが市町村に分けて地図に落とせば、そこに映るのは周縁部から都市へと広がる高齢化の波にあたる。既に高齢者数が減り始めた周縁と、これから高齢者数が増える三都市という、時間差のある二つの局面が同時に走っている。それぞれに別の備えが要る、というのが青森の地域経済を読む出発点になる。次稿では、この人口動態に市町村の財政を重ね、二つの中心と広い周縁がどう財政を組み立てているかを掘り下げる。

結論:青森の高齢化は周縁部から都市へ広がる

青森県40市町村を国勢調査の20年で並べると、高齢化率は県計で約34%と全国でも高い水準だが、その正体は高齢者の増加以上に働き手の激減にある。生産年齢人口は2000年比で30%減った一方、高齢者人口はなお約44%増え、秋田のような頭打ちには至っていない。高齢化の段階は都市と周縁で分かれ、津軽・下北の周縁部(A)では高齢者数さえ既に頂点を越え、老年従属指数は100を超えて働き手より高齢者が多い。他方、青森市・八戸市・弘前市の三都市に三沢・六ヶ所・おいらせの産業立地を加えた都市・基盤厚型(C)は、秋田になかった厚みを持ち、高齢化率が低く高齢者数はこれから増える。介護・医療の需要は、割合の高い周縁部で先に、数の多い三都市で後から重くなる。青森の高齢化は、周縁部から都市へと時間差で広がる波として読むのが出発点になる。

注記本資料は、公開データに基づく事実の整理であり、投資・財政上の助言ではない。人口は総務省「国勢調査」(5年ごと、年齢3区分)による。高齢化率・老年従属指数は、年齢不詳を除いた原数値をもとに算出した。この方式では、年齢不詳を按分した県公表値より高齢化率がわずかに高く出る(県計で原数値ベース約33.9%に対し県公表値は33.7%)。平成の大合併で新設・拡大した青森市・弘前市・八戸市・五所川原市・十和田市・むつ市・つがる市・平川市・外ヶ浜町・中泊町・おいらせ町・七戸町・東北町・南部町・五戸町・深浦町・藤崎町は、合併前の年次を旧市町村値で合算して現行40区分に遡及している。本稿の地域区分(津軽・東青・下北・三八上北)は、地理的位置をもとに本稿で独自に整理したもので、行政上の区分とは一致しない。本稿は人口動態に焦点をあて、市町村の財政指標は次稿で扱う。
主要出典: 総務省「国勢調査」時系列データ(年齢3区分別人口)/対象は2026年時点の青森県40市町村、人口は2000〜2020年。